緑内障検査

■ 緑内障の構造的異常の検査として、眼底検査と光干渉断層計(OCT)が挙げられます。眼底検査では緑内障性視神経陥凹や網膜神経線維層欠損の有無、OCTにおいては傍乳頭視神経繊維層厚と黄斑部神経節細胞複合体厚の測定等があります。

■ 緑内障の機能的異常の検査として、視野検査が挙げられます。

■ 眼底検査で構造的異常を認めても、通常の自動静的視野検査で視野欠損等を検出できない場合があります。このように、機能的異常の前に構造的異常が先行する過程にある「preperimetric glaucoma」が疑われる場合は、OCT検査に加え、緑内障による早期の感度異常を検出するため、神経節細胞の機能を評価するフリッカー視野検査やFDTを行っています。

通常の静的量的視野検査では、ほぼ網膜感度の低下は認められません。OCTでは、明らかな下耳側(青色矢印;↓)の網膜神経線維層厚の減少を認めます。フリッカー視野検査では、OCTの網膜神経線維層厚の減少を反映する上方の視野障害を認めます。

■ 神経節細胞複合体 (GCC; Ganglion Cell Complex)
おおよそ50%の神経節細胞は中心窩から4〜5mm離れた黄斑部領域まで存在することから、緑内障により減少や消失した神経節細胞の程度を黄斑部の 6X6mm 領域で、神経線維層・神経節細胞層・内網状層からなる神経節細胞複合体 (GCC; Ganglion Cell Complex) 厚み測定をもって評価します。

正常OCT画像(右眼水平断)

■ 緑内障では神経節細胞が減少・消失することから、緑内障眼ではGCCの厚みが減少します。このことから、年齢に一致した300人以上の正常データベースと比べ、どのくらい GCC 厚が減少しているかを%lossで評価します。

%loss = 実測値ー正常値/正常値


中心窩のGCCは非常に薄く、マップでは黒く表示されています。中心窩から黄斑周辺部に向かい、その厚みは増し青色から緑色 (100~120 μm) になっています。このマップでは黄斑部上方ではやや青色の領域もあります(ピンク矢印)が緑色で表示されています。一方、黄斑部下方では、中心窩付近と同じように青色で表示されています(白矢印)。


上段のThickness Mapでピンク色矢印の場所は下段のDeviation Mapでは青色で表示され、正常者に比べ約20%のloss、白色矢印では30%以上のlossであることが分ります。